催事レポート『いしかわブックフェス2020』

「石川県古書籍商組合」(以下、「石川組合」と称す)では新規加入いただいた組合員の販売ツールの一環として、またベテラン組合員の販売促進の一助として、5年前から組合が主催する「古書即売会」を開催してきました。

しかし、雨の心配(金沢はとにかく雨が多い)がなく、かつ人が集まる場所を探すのは大変です。「三人寄れば文殊の知恵」とばかり、今年度石川組合では催事企画チームを立ち上げ、そして雨と人出を気にすることのない開催場所として5月のGW明けの3日間、金沢駅東口もてなしドーム地下広場を押さえたのは昨年末の11月でした。年明け早々から準備を始めたものの、思いもよらぬ新型コロナウイルスで非常事態宣言が出されるに至って即売会開催は見送ることとなりました。

開催準備も整っていた即売会でしたので、コロナ禍が落ち着いた6月に入り再チャレンジすることになりました。しかし、当初押さえていた会場に年内の空きはなく諦めかけたころ、10月におこなわれる金沢マラソンがコロナ禍で中止となり、出場者受付会場となっていた地下広場に空きが出たことから、石川組合では今企画をそのままスライドした『いしかわブックフェス2020』を開催することといたしました。

あらためて会場をリサーチしたところ、雨の心配はありませんが、旅行者を含む金沢駅の利用者の動線は地下に降りてこないということ、会場がイベント中心の広場ではないので本や什器等専用の搬入出機能がなく、駅周辺の景観上販促用の幟や掲示物が大きく規制されていたのです。さらには新型コロナウィルス対策も取らなければなりません。

10月23日からの開催に向け、私たちにできることとして新聞・テレビ・ラジオを通じた告知活動、組合員のSNSによる発信、同会場で販売実績と集客力のある中古レコード店への共同出店依頼、搬入出作業をサポートしていただくバイトさんの確保、夜間無人となる会場を巡回している担当警備会社との交渉、そして今回もっとも頭を痛めたのは「コロナ対策」です。入場口の制限、会場内でのマスク着用と手消毒の徹底、密を避けるため組合員の出店スペース分散等々の対策立案に時間だけが取られて過ぎて行きました。

そうして迎えた開催初日は、16店舗の出店準備が整った午後4時からスタート。本当にお客様が地下広場まで降りてきて下さるだろうかと気が気ではありません。先ずは中古レコードを求めるお客さんが来場、そして通勤・通学時間帯に入り古本ブースにも足をとめるお客様の姿が目に付くようになり、閉場の午後8時になっても多くのお客様が残っているのには驚きました。翌二日目、三日目とも開場は早朝8時にもかかわらずお客様が次々と来場され、両手に古本を抱えて各店舗を回ったり、親子で絵本を探したりと、終日会場内は本好きのお客様で賑わい、あっという間に3日間の即売会を終えることができました。

この時期、この場所での即売会開催にベテラン組合員が危惧していた「人出」と「売り上げ」でしたが結果は予想を上回り、その後出店者による反省会では来年も当会場で開催して欲しいとの声を受け、石川組合では早くも『いしかわブックフェス2021』に向かって動き始めています。