明治堂書店・太田伸良氏がすでにおよそ一年前の令和3年8月にご病気にてご逝去されていた事を明治堂書店太田道子氏より告げられたのは令和4年9月30日(金)組合交換会の折、太田伸良氏の近況を尋ねたときでした。
組合、同業者、友人、知人など、どなたにもお知らせしていないとの事で、2、3年前より店舗販売営業も止められ、ご高齢もあり案じておりましたが、大変驚きました。
ご夫妻は太田伸良氏が小学校美術科教諭を退職されて、古書元車(もとぐるま)として古書店を開業し、太田道子氏名義にて石川県古書籍商組合へ昭和50年に加入し、のちに現在地に明治堂書店として移転し、店舗営業・交換会(市場)・大型スーパーなどの展示販売催事で活躍されてきました。
昭和時代末頃の石川県古書籍商組合の旧世代との転換期に、太田道子氏から太田伸良氏へ組合登録名義変更を有志がお願いして平成時代の初めに石川県古書籍商組合理事長に就任され、次世代への橋渡し役として組合をまとめられ、二度の交換会(市場)会場の移転 —浅野本町―駅西本町— また金沢市立泉野図書館新設の際に公明公正な組合員古書納入方法設定、さらに第2回北陸三県古書合同大市会(担当石川県古書籍商組合)の時の貴重古典籍・浮世絵・刷り物・資料・史料などの稀覯本、優品の出品協力など石川県古書籍商組合への功績は数え切れません。
思えば、石川県古書籍商組合員現30名の約3分の2の方々は太田伸良氏理事長の時期以降に組合加入されていますので、時の流れを感じます。
令和元年(2019年)5月28日に金沢市内ホテルにて明治堂書店様・やまびこ書房様を永年ご功労組合員顕彰式を行いましたが、ご都合がつかず欠席され、ご造詣の深い古美術・古典籍・金属古鏡・等々のお話を伺えず残念です。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
令和4年10月28日
一誠堂能瀬書店 能瀬次利